2016年9月4日日曜日

システム論(1)

水文学も地球システムのうちの一要素として位置づける必要がある。システム論は、現在、いろいろな分野で注目を集めている。システムは、複数の相互作用する要素から構成され、要素どうしの相互作用により要素ひとつひとつだけを単独で見たときには見られない特性が生み出されるのが、システムの特徴だとされる。システムバイオロジー、進化システムバイオロジーなど注目すべき分野が台頭している。地球システムを考えるときには、気圏、地圏、水圏、生物圏、人間圏という要素を考え、それらの相互作用から生み出される特性というようにとらえることが多いが、生物圏を構成する生物種に着目したときに、生物の進化をシステム論的にとらえていくのがシステムバイオロジーである。システムの要素はまたシステムを構成し、そのシステムの要素はさらにシステムを構成し、というように、システムは、要素とシステムを介して、入れ子状になっていると捉えることができる。

2016年9月3日土曜日

モデリング(1)

モデリングは、世界に起こっている多様な現象のうちから、自分が関心を抱く現象に関して、そのメカニズムをなんらかの記号を用いて表現したもので、記号の操作を介して、繰り返しその現象を再現することができるような仕組みのことを指す。このような意味においては、所謂、数式を用いた数理モデリングを包含し、さらに広い範囲にわたる人間の記号操作活動に当てはまるのがモデリングである。極論をすれば、人間の世界認識自体が、「ありのままの世界」のモデル化の始まりなのである。このような意味では、モデリングは特殊な行為ではなく、ことごとく普遍的な行為である。

Rainfall-Runoff Modelling

水文学の研究分野で、世界的に著名な研究者であるBeven先生が書かれた教科書、Rainfall-Runoff Modellingの第1版の翻訳を10年ほど前に自分のためにした。一般の書籍としての出版をいくつかの出版社に打診したこともあるのだが、あまり売れるような内容の本ではないとの理由から、出版はできていない。 3年ほど前にかなりリバイスされて第2版が出版されているため、最新のものではないのであるが、今後も出版できそうな見込みもないので、ここに少しづつアップしていこうと思う。

国連によるSustainable Development Goals(SDG)の大幅改定

寡聞にして不勉強だったので、国連による持続可能な開発目標が大きく改定されて、かなり充実した目標設定がなされてたということをつい最近知った。よい機会なので、下にその大目標を日本語訳しておく。各大目標の下にはより具体的な小目標が設定されており、全体として立体的な構成になっているように思う。

1.すべての場所においてあらゆる形の貧困を撲滅する。
2.飢餓をなくし、食糧の安全保障と栄養状態を改善し、持続的な農業を推進する。
3.健康な生活を保証し、全世代においてよい人間存在(well-being)のあり方を推進する。
4.包括的で平等な教育を保障し、すべての人が生涯学習できる機会を推進していく。
5.ジェンダーの平等を達成し、女性と女の子の権利を保障する。
6.水の入手可能性と持続的な管理、そして、衛生をすべての人に保証する。
7.エネルギーが供給され、信頼性があり、持続可能であることがすべての人に保証する。
8.包括的で持続可能な経済成長を持続的に推進し、すべての人に対する完全で生産的な雇用および尊厳ある労働を推進する。
9.レジリアントなインフラを構築し、包括的、持続的な産業を推進し、イノベーションを育む。
10.国内および国際的な不平等を削減する。
11.都市および人間の居住地を包括的、安全、レジリアント、持続的なものにする。
12.持続的な消費と生産のパターンを保証する。
13.気候変動とそのインパクトに立ち向かうための緊急のアクションをとる。
14.持続的な発展のため外洋、海洋、海産資源を保全し持続的に利用する。
15.陸域の生態系の保護、修復、持続的な利用を行い、持続的な森林管理を行い、砂漠化に立ち向かい、土地劣化を食い止め修復し、生物多様性の損失を食い止める。
16.持続的な発展のために平和で包括的な社会形成を推進し、すべての人が社会的な正義にアクセスすることができるようにし、効果的で、説明責任があり、包括的な制度を構築する。
17.持続的な発展のための国際的なパートナーシップを実装する方法を強化し、再活性化する。

inclusiveという用語が多用されているが、どのように訳したらよいかがわからなかった。とりあえず包括的とそのままの訳になっている。また、ocean, sea, marineという用語が並列で使用されているのだが、これらをどう区別するのかもわからなかったので、適当な訳になっている。そのほか、この手の文章の専門家ではないので、適切な用語が用いられていない点も多いと思う。引用をしたいと思う人は、別途、専門家による訳を参照されたほうがよいかと思う。

いずれにしても、よきにつけ悪しきにつけ、今後は、この目標となんらかの形でリンクさせないと、研究成果の世界的な流れとの関連付けが難しいだろう。


農業農村工学会全国大会

2016.8.29-9.1農業農村工学会@仙台
久しぶりの発表。
発表カテゴリーは、灌漑排水だったが、水文・水質の会場には知り合いが多くてほっとする。
この10年ぐらいずっとアウェーな発表が多かったが、やはりこの学会がホームなのかと思った。
 一方で、農林水産業全般の将来への見通しが暗い中で、振り切れた研究がない、というのが長野さんの指摘だったが、自分自身の研究も含めてそれはそう思う。
 学問は、短期的な景気には左右されず長い時間スパンの中でのものの見方を提供することにより、今現在の刹那に生きる人間の囚われの軛から人間自身を解放してくれるとき、本当の学問になると思う。それがリベラル・アーツ、つまり、人間を奴隷から解放してくれる行為の現代的な定義になるのかもしれない。つまり、現代の経済最優先にとらわれた(縛られた)奴隷的存在としての人間の解放、ということだ。

2016年9月2日金曜日

やったこと覚書(2016.7-8)

・7/3-17: アムール川ティルマ流域凍土調査、Mareにおける凍土深が浅いことにかなりの確信をもつことができた、有意義な調査だった。

・7月締め切り原稿その1:水産学会締め切り本の原稿提出。提出は、2週間ほど遅れるが、なんとか提出。

・7月締め切り翻訳原稿:Applied Groundwater Modelingの翻訳担当章の翻訳。期日が延期されたため、提出していないが、おおよそ、下訳をリバイスした。もう一度リバイスをして、できるだけ早くに提出する必要がある。

・前期が無事に終了。土の物理的環境、水文学、ビオトープ論、情報処理実習、生産環境科学特論Ⅳ、水・物質循環評価特論の採点と成績確定、提出。レポート採点は例年のごとく大変だった。

・7/30-8/5: 久保匠くん(北大)がGISとリモセンの修行で滞在。いろいろなスキルを伝授。LANDSAT8のデータを使用してMareの分布域を判別することを試みる。ある程度絞りこむことができそうな手ごたえを得る。今後の展開が楽しみ。

・8/9.10:オープンキャンパスで一日中、入試説明。

・8/17:揖斐川流域広域採水。with下くん。根尾川流域から揖斐川本流流域に抜けて、広域にサンプリングを行った。窒素の濃度分布を知るため。

・8/20:演習林環境DNA採水。with三嶋くん。月1回の定期調査。

・8/22-27:石垣島調査。24時間連続採水、河口部の流量観測、土嚢300~400袋撤去。充実した6日間だった。土嚢撤去は、事前にユニックとトン袋を手配できていたため、かなり効率的に進めることができた。東洋工業さんありがとうございました。ユニックの運転手さんは、いい人だった。土嚢袋を運ぶのも手伝ってくれた。

・8/30-9/1: 農業農村工学会@仙台。大学院生1名と自分の発表。LQ式による推定値算出に関して非常によい示唆を、神戸大学の多田先生からいただく。発表をしてよかったと心から思った。流量観測をしてHQカーブをちゃんと作成することにした。

8月中は、尾瀬沼重点研究の打ち合わせで、2回東京に出張。

2016年7月18日月曜日

ティルマ川流域のフィールド調査

7月3日~17日の日程で、ロシア、アムール川の支流ブレア川のさらに支流のティルマ川のフィールド調査に参加した。日本隊:白岩、大西、久保、田代、ロシア隊:Kimさん、Antonovさん、Shesterkinさん、そしてガイドのコーリャとボロージャ。